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栄養論文 2018年読了 約6分

カフェインは持久走のパフォーマンスを高めるか

平均では小さな改善が示されました。ただし反応には個人差があり、レース当日に初めて試すべき根拠にはなりません。

先に結論

  • 無作為化・プラセボ対照研究46件を統合すると、カフェインは持久系タイムトライアルを平均で改善しました。
  • 研究で多かった中等量(体重1kgあたり3〜6mg)では効果が見られましたが、効かない人や悪化した研究もあります。
  • これは一般情報です。睡眠、動悸、不安、薬との相互作用などは個人の健康状態と関係するため、量の処方ではありません。

どんな研究か

2018年のシステマティックレビューとメタ分析です。カフェインとプラセボを無作為に比べた持久系の研究を対象とし、46研究を統合しました。タイムトライアルは、決められた距離や仕事量をできるだけ速く終える試験で、持久系競技の成績に近い測定として使われます。

採用研究
46研究
比較
カフェインとプラセボ
主な量
3〜6mg/kg
主な指標
完了時間
追加の指標
平均出力
設計
無作為化対照

用語メモ:プラセボ
有効成分を含まない、または作用がないと考えられる比較条件です。「摂ったつもり」の期待や研究参加時の影響を区別するために使います。

用語メモ:mg/kg
体重1kgあたりのミリグラムです。同じ摂取量でも体格で相対量が変わるため、研究ではこの表し方が用いられます。

何が分かったか

カフェイン条件はプラセボ条件と比べ、平均出力が3.03±3.07%高く、タイムトライアル完了時間は2.22±2.59%改善しました。効果量はそれぞれ0.23±0.15、0.41±0.20で、平均としては小さくても、競技では順位差になり得ると著者は述べています。

平均値の外にいる選手もいる

採用研究のうち、2研究ではタイムトライアルが遅くなり、5研究では平均出力が低くなりました。平均の改善は、全員に同じ効果がある意味ではありません。摂取習慣、感受性、競技時間、睡眠、胃腸反応などが一人ひとり異なるためです。

「3〜6mg/kg」の位置づけ

このレビューは中等量で効果があるとまとめましたが、量を増やすほど良くなる用量反応を示したものではありません。研究の多くが扱った範囲での平均結果です。カフェイン含有飲料・サプリメントの製品差、他の成分、摂取タイミングも一つにそろっていません。

実践へどう読み替えるか

  1. レース当日に初めて試さない。平均改善の裏に悪化例があります。使うかどうかは、通常練習や模擬レースで睡眠・胃腸・集中の反応を確認して決めます。
  2. 「多いほど効く」としない。この研究は大量摂取を勧めていません。健康上のリスクや副作用を無視して量を増やす根拠にはなりません。
  3. 健康上の条件を優先する。不整脈、強い不安、妊娠中、服薬中などでは自己判断を避け、医師や薬剤師へ確認します。未成年の利用も保護者・専門家と扱います。

この研究だけでは言えないこと

  • 持久系研究の統合であり、陸上の各距離や屋外レースだけに限定した結果ではありません。
  • 製品、摂取時刻、参加者の習慣、運動様式が異なります。
  • 長期の習慣的使用、睡眠への影響、健康上の安全性を詳細に評価した研究ではありません。
  • 個人の適量や、誰に使うべきかを決める診療・栄養指導ではありません。

原論文

Southward K, Rutherfurd-Markwick KJ, Ali A. “The Effect of Acute Caffeine Ingestion on Endurance Performance: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Sports Medicine. 2018;48(8):1913–1928.