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故障予防論文 2019年読了 約5分

ノルディックハムは肉離れを予防するか

予防プログラムへ取り入れた競技者では、ハムストリング肉離れの発生率がおよそ半分になりました。ただし、研究の中心は球技選手です。

先に結論

  • ノルディックハムストリング運動を含む予防プログラムでは、肉離れの発生率が約51%低下しました。
  • 単独で実施した研究と、他の運動を含むプログラムの両方がまとめられています。
  • 対象の多くはサッカー選手であり、陸上短距離選手でも同じ割合で減るとは断定できません。

どんな研究か

2019年に『British Journal of Sports Medicine』へ掲載されたシステマティックレビューとメタ分析です。ノルディックハムストリング運動を予防プログラムに含めた研究を集め、通常の練習や別の予防法と比べたハムストリング損傷の発生率をまとめています。

対象
競技者 8,459人
損傷件数
525件
主な競技
サッカー
研究数
15研究
評価
ハム損傷の発生率
論文年
2019年

用語メモ:ノルディックハムストリング運動は、膝立ちから上体を前へ倒し、ハムストリングで下降を制御するエキセントリック運動です。

何が分かったか

ノルディックハムストリング運動を含むプログラムを実施した群では、対照群と比べてハムストリング損傷の発生率が約51%低くなりました。論文の結論は「単独または予防プログラムの一部として取り入れることで、発生率を半減させる」というものです。

ここで評価しているのは筋力や柔軟性の変化ではなく、一定期間に実際に起きた損傷の割合です。一方で、研究間には実施量や併用した運動の違いがあります。

練習へどう読み替えるか

  1. 予防策の一部として考える。ハムストリングへ伸ばされながら力を出す刺激を与える候補です。走動作、負荷管理、ウォームアップを不要にする運動ではありません。
  2. 少ない量から段階的に増やす。強い筋肉痛が出やすいため、試合や高強度スプリントとの間隔を考え、無理なく継続できる量から始めます。
  3. 痛みがある状態で自己判断しない。予防研究の結果であり、現在の肉離れを治療する手順ではありません。既往歴や症状がある場合は専門家へ相談します。

この研究だけでは言えないこと

  • 陸上短距離選手における予防効果を直接検証したレビューではありません。
  • 最適なセット数、頻度、シーズン内の配置を一つに決められる結果ではありません。
  • ノルディックハム単独の効果と、複合プログラム全体の効果を完全には分けられません。
  • すでに損傷している選手の診断や復帰判断には使えません。

原論文

van Dyk N, Behan FP, Whiteley R. “Including the Nordic hamstring exercise in injury prevention programmes halves the rate of hamstring injuries: a systematic review and meta-analysis of 8459 athletes.” British Journal of Sports Medicine. 2019;53(21):1362–1370.