先に結論
- そりを用いたレジステッドスプリントは、特に初期加速の改善に使える可能性があります。
- 最高速度局面の改善は統計的に明確ではありませんでした。
- 負荷なしのスプリント練習と比べて、そり牽引走の方が優れるとは確認されませんでした。
どんな研究か
2018年に『Sports Medicine』へ掲載されたシステマティックレビューとメタ分析です。健康な競技者を対象とした介入研究を集め、そり牽引走が加速局面、最高速度局面、スプリント全体へ与える効果を調べています。
- 研究対象
- 健康な競技者
- 主な競技
- 球技選手が中心
- 介入
- そり牽引走
- 比較
- 介入前後/対照群
- 評価
- 加速・最高速度
- 論文年
- 2018年
用語メモ:このノートの「そり牽引走」は、走者が後方のそりを引きながら走るレジステッドスプリントを指します。
何が分かったか
介入前後の比較では、加速局面とスプリント全体に改善が見られました。一方、最高速度局面の改善は統計的に明確ではありませんでした。
重要なのは、対照群を設けた研究だけを見ると、そり牽引走群が対照群より大きく改善したとは確認できなかった点です。「そりを引けば速くなる可能性」は示していても、「通常のスプリントより効果的」という結論ではありません。
練習へどう読み替えるか
- 加速を狙う補助手段として使う。スタート直後や加速局面で、地面へ水平方向の力を加える練習として位置づけるのが研究結果に合います。
- 通常の全力疾走も残す。そり牽引走が負荷なしのスプリントより優れる証拠は不十分です。動作速度の高い通常走と組み合わせる方が自然です。
- フォームの崩れを観察する。負荷の大きさだけで効果を決められないため、姿勢、接地、速度低下を確認しながら個別に調整します。
この研究だけでは言えないこと
- 対象はサッカーやラグビーなどの男性競技者が多く、陸上短距離選手へそのまま当てはめられるとは限りません。
- 最適な負荷を体重比だけで一律に決められる結果ではありません。
- 100mレース全体や最高速度の改善を保証するものではありません。
- 研究ごとに負荷、距離、期間、競技レベルが異なります。
原論文
Alcaraz PE, Carlos-Vivas J, Oponjuru BO, Martínez-Rodríguez A. “The Effectiveness of Resisted Sled Training for Sprint Performance: A Systematic Review and Meta-analysis.” Sports Medicine. 2018;48(9):2143–2165.