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標高別 海抜0m換算早見表

高地で出した記録は、海抜0m ならどれだけ遅くなるのか。標高 0〜2300m を 50m 刻みで一覧にしました。

文: かずきち

先に結論

  • 100m の標高効果は、思っているより小さいです。標高 1000m で 0.03〜0.04 秒、有効範囲の上限である 2300m でも 0.07〜0.09 秒しかありません。
  • 追い風に換算すると、標高 1000m は +0.5〜0.6m/s 相当、2300m でも +1.0〜1.3m/s 相当。公認記録の上限である追い風 +2.0m/s にすら届きません。
  • 200m は 100m の約3倍、標高に敏感です。標高 2000m で約 0.20 秒。風の効きは 200m のほうが小さかったのとは、ちょうど逆の関係になります。
  • 標高の効果はレーンにほとんど依存しません。標高 2000m でのレーン1〜8 の差は 0.005 秒以下。風がレーンで 0.05 秒以上変わるのとは対照的です。

100m の標高効果は小さい

標高が上がると空気が薄くなり、空気抵抗が減ります。ただし 100m でその恩恵がどれくらいかというと、次のとおりです。無風での値です。

標高10秒0011秒0012秒0013秒00
500m+0.016秒+0.018秒+0.020秒+0.021秒
1000m+0.032秒+0.035秒+0.038秒+0.041秒
1500m+0.046秒+0.051秒+0.055秒+0.060秒
2000m+0.060秒+0.066秒+0.072秒+0.078秒
2300m+0.067秒+0.074秒+0.081秒+0.088秒

標高 1000m の競技場で出した 10秒00 は、海抜0m 換算で 10.03 です。0.03 秒。追い風 +2.0m/s の恩恵が 0.10 秒だったことを思い出すと、その3分の1にも届きません。

もうひとつ、標高が上がるほど効きの伸びが鈍ることも読み取れます。0m から 1000m で 0.032 秒増えるのに対し、1000m から 2000m ではさらに 0.028 秒。空気密度は標高に対して指数関数的に減るので、同じ 1000m でも上に行くほど1mあたりの差は小さくなります。

標高を追い風に換算する

秒数だけ見てもピンと来ないので、「その標高と同じだけ得をする追い風は何 m/s か」に直します。競技者にとっては、風のほうが体感に近いはずです。

標高10秒0011秒0012秒0013秒00
500m+0.31m/s+0.28m/s+0.26m/s+0.24m/s
1000m+0.61m/s+0.55m/s+0.50m/s+0.47m/s
1500m+0.89m/s+0.81m/s+0.75m/s+0.69m/s
2000m+1.18m/s+1.07m/s+0.98m/s+0.90m/s
2300m+1.34m/s+1.22m/s+1.12m/s+1.03m/s

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。モデルの有効範囲の上限である標高 2300m ですら、追い風 +1.0〜1.3m/s 程度の効果しかありません。公認記録として認められる追い風の上限は +2.0m/s ですから、標高の恩恵はその範囲に収まってしまいます。

言い換えると、「高地だから記録が出た」より「その日の風がよかった」のほうが、100m では効いていることが多いということです。高地開催の記録を割り引いて見たくなったら、まず風速を確認してください。

追い風換算の値がタイム帯で変わるのは、100m の風の補正が実測タイムに比例して大きくなるためです。遅いタイムほど同じ風速でより大きな補正がつくので、標高と釣り合う風速は小さくなります。

200m は約3倍、標高に敏感

同じ標高で、100m と 200m の補正量を比べます。200m はレーン4 の値です。

標高100m(10秒50)200m(20秒50)100m(12秒00)200m(24秒00)
500m0.017秒0.053秒3.07倍0.020秒0.057秒2.89倍
1000m0.033秒0.100秒3.01倍0.038秒0.108秒2.83倍
2000m0.063秒0.195秒3.11倍0.072秒0.209秒2.92倍
2300m0.071秒0.223秒3.16倍0.081秒0.240秒2.96倍

どの標高でも 2.8〜3.2 倍で安定しています。距離は2倍なのに効果は約3倍です。

そして、これは風とは逆向きの関係です。200m の風の補正は 100m の 1.0〜1.3 倍にしかなりませんでした。風はカーブで走行方向が変わるぶん打ち消し合いますが、空気密度はコースのどこにいても等しく効きます。カーブがあっても薄い空気は薄いままなので、走行時間が長いぶんだけ素直に積み上がる、という違いです。

標高ではレーン差がほぼ消える

標高 2000m・無風でのレーン1〜8 の補正量は、21.5秒未満用で 0.191〜0.196 秒、21.5秒以上用で 0.208〜0.209 秒。幅は 0.005 秒以下で、実用上は無視できます。追い風 +2.0m/s でレーン差が 0.05 秒以上あったのとは対照的です。これも「風は向きの問題、標高は密度の問題」という違いから来ています。

標高と風は掛け合わせになる

実際の記録は、標高と風の両方の条件下で出ます。10秒50 を例に、両方を動かした補正量です。

条件−2.0m/s−1.0m/s無風+1.0m/s+2.0m/s
海抜0m−0.132秒−0.063秒±0.000秒+0.056秒+0.107秒
標高1000m−0.083秒−0.022秒+0.033秒+0.083秒+0.127秒
標高2000m−0.040秒+0.014秒+0.063秒+0.107秒+0.146秒

注目してほしいのは標高2000m・向かい風 −1.0m/s の +0.014 秒です。値が正、つまり向かい風を受けているのに、海抜0m の無風より有利な条件になっています。標高の恩恵が 1.0m/s ぶんの向かい風を上回るためです。

「向かい風だったから悪条件だった」と決めつけられない、ということでもあります。標高のある競技場では、風速だけを見て条件の良し悪しを判断すると読み違えます。

早見表:100m の標高補正(0〜2300m、50m 刻み)

数字は実測タイムに足すと海抜0m 換算タイムになる補正量です。無風での値。色の付いた行は 1000m と 2000mの目印です。

標高 10.0010.5011.00 11.5012.0012.5013.00
0±0.000±0.000±0.000±0.000±0.000±0.000±0.000
50+0.002+0.002+0.002+0.002+0.002+0.002+0.002
100+0.003+0.004+0.004+0.004+0.004+0.004+0.004
150+0.005+0.005+0.006+0.006+0.006+0.006+0.007
200+0.007+0.007+0.007+0.008+0.008+0.008+0.009
250+0.008+0.009+0.009+0.010+0.010+0.010+0.011
300+0.010+0.010+0.011+0.011+0.012+0.012+0.013
350+0.012+0.012+0.013+0.013+0.014+0.014+0.015
400+0.013+0.014+0.014+0.015+0.016+0.016+0.017
450+0.015+0.016+0.016+0.017+0.018+0.018+0.019
500+0.016+0.017+0.018+0.019+0.020+0.020+0.021
550+0.018+0.019+0.020+0.021+0.022+0.022+0.023
600+0.020+0.020+0.021+0.022+0.023+0.024+0.025
650+0.021+0.022+0.023+0.024+0.025+0.026+0.027
700+0.023+0.024+0.025+0.026+0.027+0.028+0.029
750+0.024+0.025+0.027+0.028+0.029+0.030+0.031
800+0.026+0.027+0.028+0.030+0.031+0.032+0.033
850+0.027+0.029+0.030+0.031+0.033+0.034+0.035
900+0.029+0.030+0.032+0.033+0.034+0.036+0.037
950+0.030+0.032+0.033+0.035+0.036+0.038+0.039
1000+0.032+0.033+0.035+0.036+0.038+0.040+0.041
1050+0.033+0.035+0.037+0.038+0.040+0.042+0.043
1100+0.035+0.036+0.038+0.040+0.042+0.043+0.045
1150+0.036+0.038+0.040+0.042+0.043+0.045+0.047
1200+0.038+0.039+0.041+0.043+0.045+0.047+0.049
1250+0.039+0.041+0.043+0.045+0.047+0.049+0.051
1300+0.040+0.043+0.045+0.047+0.049+0.051+0.053
1350+0.042+0.044+0.046+0.048+0.050+0.052+0.055
1400+0.043+0.046+0.048+0.050+0.052+0.054+0.056
1450+0.045+0.047+0.049+0.051+0.054+0.056+0.058
1500+0.046+0.048+0.051+0.053+0.055+0.058+0.060
1550+0.048+0.050+0.052+0.055+0.057+0.059+0.062
1600+0.049+0.051+0.054+0.056+0.059+0.061+0.064
1650+0.050+0.053+0.055+0.058+0.060+0.063+0.065
1700+0.052+0.054+0.057+0.059+0.062+0.065+0.067
1750+0.053+0.056+0.058+0.061+0.064+0.066+0.069
1800+0.054+0.057+0.060+0.063+0.065+0.068+0.071
1850+0.056+0.059+0.061+0.064+0.067+0.070+0.072
1900+0.057+0.060+0.063+0.066+0.068+0.071+0.074
1950+0.058+0.061+0.064+0.067+0.070+0.073+0.076
2000+0.060+0.063+0.066+0.069+0.072+0.075+0.078
2050+0.061+0.064+0.067+0.070+0.073+0.076+0.079
2100+0.062+0.065+0.069+0.072+0.075+0.078+0.081
2150+0.064+0.067+0.070+0.073+0.076+0.080+0.083
2200+0.065+0.068+0.071+0.075+0.078+0.081+0.084
2250+0.066+0.070+0.073+0.076+0.079+0.083+0.086
2300+0.067+0.071+0.074+0.078+0.081+0.084+0.088

単位は秒。列見出しは実測タイム(秒)。標高の単位はメートル。

早見表:標高を追い風に直すと(0〜2300m、50m 刻み)

その標高と同じだけ得をする、海抜0m での追い風の強さです。

標高 10.0010.5011.00 11.5012.0012.5013.00
0±0.00±0.00±0.00±0.00±0.00±0.00±0.00
50+0.03+0.03+0.03+0.03+0.03+0.02+0.02
100+0.06+0.06+0.06+0.05+0.05+0.05+0.05
150+0.09+0.09+0.08+0.08+0.08+0.07+0.07
200+0.12+0.12+0.11+0.11+0.10+0.10+0.10
250+0.16+0.15+0.14+0.13+0.13+0.12+0.12
300+0.19+0.18+0.17+0.16+0.15+0.15+0.14
350+0.22+0.21+0.20+0.19+0.18+0.17+0.17
400+0.25+0.24+0.22+0.21+0.21+0.20+0.19
450+0.28+0.26+0.25+0.24+0.23+0.22+0.21
500+0.31+0.29+0.28+0.27+0.26+0.25+0.24
550+0.34+0.32+0.31+0.29+0.28+0.27+0.26
600+0.37+0.35+0.33+0.32+0.31+0.29+0.28
650+0.40+0.38+0.36+0.35+0.33+0.32+0.31
700+0.43+0.41+0.39+0.37+0.36+0.34+0.33
750+0.46+0.44+0.42+0.40+0.38+0.37+0.35
800+0.49+0.46+0.44+0.42+0.41+0.39+0.38
850+0.52+0.49+0.47+0.45+0.43+0.41+0.40
900+0.55+0.52+0.50+0.48+0.46+0.44+0.42
950+0.58+0.55+0.52+0.50+0.48+0.46+0.44
1000+0.61+0.58+0.55+0.53+0.50+0.48+0.47
1050+0.64+0.60+0.58+0.55+0.53+0.51+0.49
1100+0.66+0.63+0.60+0.58+0.55+0.53+0.51
1150+0.69+0.66+0.63+0.60+0.58+0.55+0.53
1200+0.72+0.69+0.66+0.63+0.60+0.58+0.56
1250+0.75+0.72+0.68+0.65+0.63+0.60+0.58
1300+0.78+0.74+0.71+0.68+0.65+0.62+0.60
1350+0.81+0.77+0.74+0.70+0.67+0.65+0.62
1400+0.84+0.80+0.76+0.73+0.70+0.67+0.64
1450+0.87+0.83+0.79+0.75+0.72+0.69+0.67
1500+0.89+0.85+0.81+0.78+0.75+0.72+0.69
1550+0.92+0.88+0.84+0.80+0.77+0.74+0.71
1600+0.95+0.91+0.87+0.83+0.79+0.76+0.73
1650+0.98+0.93+0.89+0.85+0.82+0.78+0.75
1700+1.01+0.96+0.92+0.88+0.84+0.81+0.78
1750+1.04+0.99+0.94+0.90+0.86+0.83+0.80
1800+1.06+1.01+0.97+0.93+0.89+0.85+0.82
1850+1.09+1.04+0.99+0.95+0.91+0.87+0.84
1900+1.12+1.07+1.02+0.97+0.93+0.90+0.86
1950+1.15+1.09+1.04+1.00+0.96+0.92+0.88
2000+1.18+1.12+1.07+1.02+0.98+0.94+0.90
2050+1.20+1.15+1.09+1.05+1.00+0.96+0.93
2100+1.23+1.17+1.12+1.07+1.03+0.98+0.95
2150+1.26+1.20+1.14+1.09+1.05+1.01+0.97
2200+1.28+1.22+1.17+1.12+1.07+1.03+0.99
2250+1.31+1.25+1.19+1.14+1.09+1.05+1.01
2300+1.34+1.28+1.22+1.16+1.12+1.07+1.03

単位は m/s。列見出しは実測タイム(秒)。すべて追い風方向です。

早見表:200m の標高補正(0〜2300m、50m 刻み)

レーン4 の値です。標高の効果はレーンにほとんど依存しないため、レーンごとの列は設けていません。

標高 21.5秒未満21.5秒以上
0±0.000±0.000
50+0.010+0.011
100+0.015+0.016
150+0.019+0.021
200+0.024+0.026
250+0.029+0.031
300+0.034+0.036
350+0.038+0.042
400+0.043+0.047
450+0.048+0.052
500+0.053+0.057
550+0.057+0.062
600+0.062+0.067
650+0.067+0.072
700+0.072+0.077
750+0.076+0.082
800+0.081+0.087
850+0.086+0.092
900+0.091+0.097
950+0.095+0.102
1000+0.100+0.108
1050+0.105+0.113
1100+0.110+0.118
1150+0.114+0.123
1200+0.119+0.128
1250+0.124+0.133
1300+0.129+0.138
1350+0.133+0.143
1400+0.138+0.148
1450+0.143+0.153
1500+0.148+0.158
1550+0.152+0.163
1600+0.157+0.169
1650+0.162+0.174
1700+0.167+0.179
1750+0.171+0.184
1800+0.176+0.189
1850+0.181+0.194
1900+0.186+0.199
1950+0.190+0.204
2000+0.195+0.209
2050+0.200+0.214
2100+0.205+0.219
2150+0.209+0.224
2200+0.214+0.230
2250+0.219+0.235
2300+0.223+0.240

単位は秒。列見出しは実測タイムが属する係数セット。表にない条件や、標高と風速を組み合わせた計算は無風換算ツールで指定できます。

自分の記録で換算する

この表の限界

  • 扱っているのは空気抵抗だけです。高地で持久系の能力が落ちる話とは無関係です。100m・200m は酸素供給がほとんど制限にならない種目なので、標高の効果は「空気が薄い=抵抗が小さい」に絞られます。長距離は逆に不利になりますが、それはこのモデルの外側の話です。
  • 高地順応や気圧の日変動は入っていません。標高から空気密度を一意に決めているだけで、その日の気圧・気温・湿度は考慮していません。
  • 200m は標高 0m と 1m の間に小さな段差があります。式の定数項のため、標高を 1m 入れただけで 0.005〜0.006 秒つきます。低標高の値は幅を持って読んでください。100m にはこの段差はありません。
  • 有効範囲の上限は 2300m です。これを超える標高は表に載せていません。
  • 公式記録は変わりません。風速と違い、標高には公認・非公認の基準そのものがありません。この換算は記録の意味を比べるためのものです。

式、係数、出典、有効範囲は風速・標高補正モデルの方法論に、補正という考え方そのものは無風換算とはにまとめています。風速側の早見表は100m 風速別200m レーン別です。

数値の出どころ

このページの数字は、rikuDATA の 無風換算ツールが使っているものと同じ計算モジュールから生成しています。手入力した値ではないため、表とツールの結果が食い違うことはありません。生成に使ったスクリプトはリポジトリの scripts/generate-altitude-table.mjs にあり、GitHub から再実行して同じ表を再現できます。追い風換算の列は、標高の補正量と一致する風速を二分法で解いて求めています。モデルは Mureika の 100m / 200m 風速・標高補正式です。